永遠の都/ホールケイン を読んで

最初、ロッシィに大いに共感した。それは男女の愛の形であり、偉大な目標達成のためには女性は犠牲的であり、必要ないと考えていた。しかし、物語の進行の中で、男女がおりなした生命の交差によって、ユートピアでもある、共和主義の達成がなされた。ドンナローマは気品が高く、力強い女性であったが、愛に目覚める中で、依存的になり、同時に罪というところで大いに悩んだ。しかし、それは大きな殉教の精神につながり、多くの人の心を動かすことになる。創始者は常に殉教者である。私はこの小説を赤と黒のような、恋愛のみで終わる、始終すると考えていた。私の恋愛に対する軽薄感が弱まったのではないかと思う。愛が、この共和制確立に欠かせなかったのではないかということである。力あるロッシィでも、ぼねりぃ男爵の工作にはかなわなかった。そして、罪を一切受け持つ精神、堂々たる態度でまさにロッシィを守り切り、そして確立した。愛と信頼、全人格的葛藤こそ、人生における真実のものであると感じた。この時期、19歳というときに読了できたことに大変感謝するし、喜びを感じる。ローマは決して依存し、犠牲となったのではなく、ロッシィと共に偉大な使命にいきぬき、じゅんじたまことに崇高なる人間性であった。また、ブルーノの生き方にも感銘。たとえ裏切られたとしても万歳といって自決する姿は忘れられない。